◆◆◆ SDGsの潮流 ◆◆◆ 2022.7.20
- Sachie Hisano
- 2022年7月26日
- 読了時間: 6分
●「GX移行債」、脱炭素設備高度化へ制度設計●
政府は脱炭素目標の実現に向け、20兆円規模の「グリーントランスフォーメーション(GX)経済移行債」の制度設計に着手する。石炭火力発電の燃料転換や製鉄設備の高度化などが目標。
●ジェンダーギャップ指数、日本116位●
世界経済フォーラムの2022年版ジェンダーギャップ指数で、日本は146カ国中116位、前年(156カ国中120位)より順位は上がったが指数自体は下がった。
●ESGへの取り組みを社員のボーナスに反映●
花王、ソニーはESGへの取り組みを一般社員のボーナスを含めた賃金に反映する制度を導入した。35兆ドルともされるESG投資が存在感を増し、企業に意識改革を迫る。役員報酬への反映にとどまらず、全社で取り組む体制づくりを急ぐ。
●JAL、出張時のCO2排出環境投資で相殺●
日本航空は出張者が利用するフライトのCO2の排出を森林事業などへの投資でオフセットできる企業向けプログラムの提供を始めた。毎月社員の出張に伴う排出量を企業ごとに通知し、同等または一部のCO2を削減する環境投資をしてもらう。
●バイオ燃料機利用、離島でエコな遊覧飛行●
JTBはバイオ燃料を使った遊覧飛行など環境への負荷に配慮した長崎県の離島ツアーを企画。航空会社やユーグレナと協力。4日間の行程で、ホテルも再エネ利用。「観光公害」を減らす持続可能な旅行を模索する。出発日は9月20日。
●日揮HDなど、SAFの原料に廃食油供給●
日揮ホールディングスや関西エアポート、レボインターナショナル(京都市)は持続可能な航空燃料の原料供給での協力で合意した。関西エアポート運営の関西国際空港など関西3空港の飲食店約90店舗やホテル、機内食工場などで出た廃食油を集める。
●廃食油由来燃料の路線バス、西武バス●
西武バス(埼玉県所沢市)は廃食油などを用いた燃料で走る路線バスの運行を始める。
●トヨタ、全固体電池の特許数首位●
EV向け次世代電池の本命とされる「全固体電池」の特許数でトヨタ自動車が先行、2位の3倍の特許数で首位だった。2位はパナソニック、上位5社中4社を日本勢が占めた。実用化でも優位性を保てるかが今後の課題になる。
●西鉄、中古ディーゼル改造しバス2割をEVに●
西日本鉄道は既存のディーゼル車両をEVに改造したバスの導入を加速する。脱炭素の実現へ、30年度には保有バスの約2割をEVに切り替える方針だ。
●北海道の再エネを海底送電で東京に●
経済産業省は北海道や東北で再エネで発電した電気を東京に送るため、新しい海底送電線の整備計画の策定に入る。日本海側を通り、200万キロワットの電気を送れる。
●鉄道のシートで脱炭素、日本シールと住江織物●
日本シール(大阪市)は座席下の暖房装置が不要になる布製ヒーターの実用化を目指し、住江織物は植物由来の糸を使った生地を試作。鉄道各社の脱炭素に関する動きを後押しする。
●レノバ事業多角化、FIT使わない太陽光や蓄電池●
再エネ専業のレノバが事業を多角化。固定価格買い取り制度に頼った既存ビジネスからの脱却を目指
す。FITに頼らない「非FIT」の太陽光発電所を年度内にも稼働するほか、大型蓄電池の開発も進める。
●双日、台湾社の家庭用蓄電機器を国内販売●
双日は台湾プラスチックグループの家庭用蓄電システム製品の独占販売契約権を獲得、ハウスメーカーなどに販売する。新築住宅や、太陽光発電設備を設置している既設住宅への導入を目指す。
●洋上風力の足元を漁場に、漁協が調査会社●
千葉県銚子市沖の洋上風力発電計画を漁業振興に生かそうと、銚子市漁業協同組合は調査会社を設立。海中の状況や水産資源の実態を把握し、風車の足元を漁礁に活用する新たな漁場づくりを目指す。
●メガソーラー曲がり角相次ぐ規制条例●
岡山県美作市は全国初の太陽光パネルを対象とする「事業用発電パネル税」条例を制定。売電価格低迷に規制強化が重なり、撤退する事業者も出始めた。メガソーラーが曲がり角を迎えている。
●太陽光パネルの製造過程で中国がシェア8割●
国際エネルギー機関によると、太陽光パネルの主要製造段階での中国のシェアが8割を超え、サプライチェーンに不均衡をもたらしている。世界各地に生産を拡大し、多様化を進める必要がある。
●トヨタ車体、新型塗装ラインでCO2を55%削減●
トヨタ車体は人気ミニバンの「アルファード」を生産する三重県いなべ工場の新しい塗装ラインで、CO2の排出を従来に比べ55%削減を実現した。車の生産の中で塗装工程はCO2の排出が最も多い。
●ヤマハ発動機、35年に工場のCO2排出ゼロに●
ヤマハ発動機はこれまでの計画を15年前倒し、2035年に世界の自社工場でCO2の排出を実質ゼロにする目標を発表した。鋳造や塗装工程での素燃料や廃熱を再利用する。電気に置き換えを進め、エネルギー全体の3割以上を自社の太陽光発電でまかなう。
●プロロジス、40年に排出実質ゼロへ●
米系物流不動産大手のプロロジス(東京・千代田)は2040年までにバリューチェーン全体で温暖化ガスの排出実質ゼロを目指す。物流施設の屋上などに1ギガワットの太陽光発電を設置、建築資材の調達先や調達手法も見直す。
●長瀬産業、CO2削減へ化学品を共同輸送●
長瀬産業は複数の企業でトラックを共有し目的地まで運ぶ共同輸送の実証実験を始めた。輸送時の積載率などを向上させ、CO2の排出量の削減やドライバー不足の課題解決を目指す。
●アンモニア製造に省エネ触媒●
千代田化工建設と東京電力HD、JERAなどはNEDOから約200億円の補助金を受け、製造コストの低減につながる新触媒を開発する。エネルギー消費の少ない製造技術の開発をめざす。
●新日本電工、電炉で焼却灰を再利用●
合金鉄メーカーの新日本電工はごみ処理施設から出る焼却灰を電炉で処理して再利用する事業を広げる。2022年度中に処理能力を3割高める。ごみの再利用の推進と環境事業を新たな収益源に育てる。
●コスモ子会社、茅ケ崎に再エネ電力の提供開始●
コスモ石油マーケティングは神奈川県茅ケ崎市の小中学校や市庁舎など52カ所にグループ会社の風力発電会社コスモエコパワーの電力を使い、再エネ由来の電力の提供を始めた。「非化石証書」付き電力。
●波力発電、釜石潤すグリーン産業、防波堤活用●
岩手県釜石市沖で、防波堤を活用した波力発電の取り組みが進んでいる。太陽光や風力発電と異なり、装置の製造から現場での設置まですべて県内企業が担う。地域を潤すグリーン産業育成を狙う。
●タスマニア、再エネで豪州の「発電所」に●
オーストラリア南東部のタスマニア州で再エネ発電が活発化。豊富な水力に、風力発電の新設が相次ぎ、すでに州の電力需要はすべて再エネ。2040年には需要の200%の発電を目指し、州外への「輸出」に加え次世代エネルギーへの活用も視野に入る。
●「化石燃料を捨てよ」グテレス国連事務総長●
国連のアントニオ・グテレス事務総長は日本経済新聞に寄稿、ウクライナ侵攻でエネルギー市場が混乱するなか、化石燃料への投資を増やす傾向があるのを否定、再エネへの移行を急ぐよう訴えた。

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